湿潤と乾燥
SIGMA DP3 Merrill / RAW SPP 5.5
雪が降らなくても冬らしいと思えるのは、
空気が乾燥しているためだ。
乾燥は、身体に対し、たとえば眼、喉、鼻に
さまざまな支障をもたらすが
比較的湿潤な日本の気候にあって、
これはひとつのメリハリを生んでいる。
春夏秋冬のメリハリというのは
ある意味、北海道から沖縄までの凝縮とも言うべき移り変わりだが、
湿潤と乾燥のメリハリというのは
人と空気の綱引きとも捉えられる。
人間と自然との間で行われる水分の奪い合いである。
湿潤と乾燥に四季を当てはめるなら
春夏の湿潤と秋冬の乾燥となるだろう。
湿潤から乾燥へ移ろうように見える。
しかし、これは湿潤と乾燥を見ているのでなく、
四季を見ているに過ぎない。
四季は春、夏、秋、冬と順番に変わって行く。
この流れはどこかで順序が入れ替わったり、
そのうちひとつが欠けたりすることはない。
湿潤と乾燥には、人間が完全に見通すこのできる規則性はない。
春の中に湿潤と乾燥は存在し、今日一日の中に湿潤と乾燥は入り交じっている。
私達は皮膚を通して、湿潤と乾燥から情報を受け取る。